この重みをまた覚えていけばいい

うまれた月に導かれたか、とうとう埼玉までやってきた。

朝の空気が清々しくて、歩く道は鈍く光っていた。

Hの話し方は以前と変わらず、Iの背はまた一段と伸びた。A氏の声は、B'z『流れゆく日々』のコーラス部分にますます似てきていた。

空は抜けるように高かった。

タータンというものを久しぶりに踏んだ。革のブーツでペタペタと歩いた。

そこで初めて会ったひとたちに私の紹介をするにあたり、A氏は何気なく言った。
今は高松に住んでいて、出身は広島だけど、東京がホームみたいなもの。
嬉しかった。不意にそう言ってくれるひとがいることに強く強く救われる。
どこにも居場所がないわけではないと。あとにして来たたくさんの場所に私がまた存在してもいいのだと。

応援したチームは入賞して、around30のひとたちが気持ちよさそうに笑うのを見た。果てはなく晴れていて、文句なしに楽しかった。


ワインを飲んで、シーフードドリアを食べ、手羽先を食べて、ビールを飲んだ。
おかしな重力のなか、ひとの眼をみて話をした。