ニガツトオカ 戻らない サンカンシオン
わが家は2階で、今朝ドアを開けると、霧の波が足元まできて渦を巻いていた。下も上も霧の海だった。
白い朝やなあ。
にゅうはくしょくという乳白色。
その人は、文字を眼で追って言った。いつもどおりに力のない視線で。
なぜ せんしゅう きてくれなかったの
それから私の顔をじっと見た。
私は連絡の不行き届きを強く謝るべきで、実際頭を下げて謝った。でも謝りながら、うれしいと思った。
だめだろうか。
夜遅くまで、できていないぶんの仕事。
受容の段階に、怒りというのがあったような気がしている。私は、そのステージに立つのがいま一番怖い。