青は絶望の色

いつからだか、一週間に一度だけ、朝ベーカリー・ルヴァンに立ち寄ることを自分に許している。だいたい週の終わりの金曜日にご褒美として焼きたてパンを買うけど、今週はなんか早弁気分で、水曜日の今日はやくも立ち寄ってしまった。朝のルヴァンは、無口なお姉さんが焼きたてを並べている。彼女は私の好きなパン(偏りすぎ)を把握していて、焼き上がってないと謝ったり、「ちょっと待って」と奥から出してきてくれたりする。今日は「私、今これが一番すきなんですよ」と、新作を教えてくれた。
米粉パンから始まって、韓国のライスビーンズ(もっちもち!)、クイニーアマン、いちじくとチーズのパン、ドライフルーツのティーブレッド、胡桃パン、…たまたま今の家に住んで、ご近所のルヴァンに出会えたのは本当に幸せでした。
ぎりぎりまで迷った挙句に、結局引越しはしないことにした。白虚無へ落ちていかないように、暗い水面にある渦巻きを大事に抱えて私はあの玄関に帰り、あの玄関から出かける。空耳を聞きながら、繰りかえすだけのこと、繰り返すしかないこと。たとえばこんな雨の日も。


<本日の屋島


友人Oの薦めで、何年ぶりかにDVDとゆーもんを借りる。とうとう、初のTSUTAYAカードも作ってしまった。

女の子ものがたり [DVD]

女の子ものがたり [DVD]

友人の言うとおり、大後寿々花の存在感が良かった。もともと好きな深津絵里も良かったけど。しかし演技全体というより顔の魅力、顔の豊かさにくらくらします深津絵里

『なにも見ないで、なにも聞かないで、なにも知ろうとしないことは、恥ずかしいことでしょ?とても、恥ずかしいことでしょ?』という台詞があって、劇中それを高校生が言う。確か、ほとんど同じ台詞を大学生のとき、友人の口から聞いた。
なにも見ないで/なにも聞かないで/なにも知ろうとしないこと/とは、寧ろ滔々として安定した精神力を要する、と思う。その不安定な足場に耐えうるとしたら、それはのっぴきならない環境にいるか、私には信じることのできないような恐ろしい平穏さと完璧なバランスを持っていることだ。
私は、それを恥ずかしいことだとは、思わない。今も、思わない。