名なき日々よ!20

高松デイズ

四国作業療法学会が開催される本日、演題発表もしないくせにただ漫然と学会に出席するのも気が向かなかったし、爽やかな空のした宇多津まで車旅というのもセンス無いなあと思って、自転車でGO!を強行した。片道35km、予定では4min/km、ほぼ2時間半の旅程。一度コンビニで水分追加しただけで、ほとんど予定と違わず到着した。



…唯一誤算は、参加者の9割がスーツのなか、我ひとり驚くほどラフなTシャツ&ジーンズだったことくらい。

まなびのにわ

そんなわけでAMは三澤先生の記念講演。途中、ロールスクリーンに「がんの作業療法ワークショップ、辞退者が出ました。先着にて1名受け付けます」とテロップが!抽選で落ちていたので迷わず申し込みして奇跡的に先着1位。足鍛えてるといいことあるね。
昼から一般演題をいくつか聞いて、アイデア自助具のナースコール見て、バリライトの車椅子クッション試してから、ワークショップ。今年からがんのリハビリテーションが算定できるようになったので、希望者が激増したみたいだ。前半は「頭頚部がん、骨がん、小児がん乳がん」のリハ紹介、後半は上肢機能訓練、リンパ浮腫へのアプローチ実技。講師は県立静岡がんセンターの田尻先生という方でした。わかりやすくて、かつ息のつけないほどの集中講座。

高松デイズ

来たからには帰らないかんやん。ワークショップのおかげでグタリとした体を再度、愛車にのせてGO!高松を目指して、東南東に進路を。

昼ご飯抜きだったから、途中でうどん『やなぎ屋』にはいる。かけ小と鯵フライ、おでんは牛スジと卵と大根。


あービール飲みたいでも飲んだら絶対辿り着けない。

そして高松デイズ

高松まで23km地点あたり、路肩で座ってるお兄さんをひきそうになる。どうやら見たとこ自転車遍路みたいで、「あ、ごめんねー」と言ったその声が胸を突くような九州訛だった。
で、ふたり旅開始。先々月、日本一周を終えて、今回は八十八ヶ所巡りだそう。自転車が信じられないことにギアなしで、腰が抜けるほど遅い。聞けば、高知の農家でもらったらしい。どうやって四国山地を乗り切る気だ。
旅の途中をゆく人は好きだ。地面を我がものにして群れたり、異形を嗤ってみたりする陰険さがないから。乾いた風のようで、頼りなくて、根を持たず、粒が限りなく細かくて、依りどころを失って哀しい。その場所にあって自分こそが異形だからだ。
前途に幸がありますように!午後23時半、この奇しき縁とお互いの明日を祝って、握手して別れた。6時間も一緒に居たのに名前も聞かなかったなあ。

それから、私は引き返して家路に。ひとりだと驚くべき速さだ。セルシオが一台私の脇をすごいスピードで走りぬけ、窓から捨てられた煙草が深夜の国道に赤く舞った。それさえ極上に美しいと思うほど、疲れていてそして幸せに充実していた。