空の帝国、音なく拡大中6

2日目

かなりのスロースタートで、昼過ぎまで家のなかでゆっくり過ごす。15時にもなろうかという頃になって、やっと潮岬へ。いつ来ても、強い風が虚空を渡り、雄大で、開け放たれた岬だと思う。
父母はゆったりと、私と従姉妹はさかさかと、それぞれのペースに別れて岬までを歩いた。それは多分今を象徴したような構図だ。10年前私たちはこうして歩きはしなかったし、10年後こんな風に歩きはしないだろうから。

今日もまたどこへ行く

夏の夕方、空が赤い赤いそのなかを、京都に帰る従姉妹を送って駅まで行った。空気は温いけれども肌に張り付きはしない。ここは瀬戸内のように凪ぐことがあまりないような気がする。夕闇、浮かび上がる、急行列車、山の背、父、窓の光、従姉妹、ホームのはじからはじ。月。言葉は、誰かから浮き上がってもすぐ消えていた。

我が…

父がお仏壇に供えた広島のお酒を、早速夕餉の食卓で開けた。それまで黙っていたおばあちゃんが「うめぇ〜〜〜〜〜〜〜!」と言った。なんてリアクションだろう、タイミングもボリュームも最高級(^_^)さすが我が祖母です。
今日はひとり2階で眠る。涼しくて、夏真っ盛りなのに秋を見てしまう。そんなつもりはないだろうに、先回りして自ら傷つこうとするようだね。