赤蜻蛉の鳴く風のなか2

12代目当主4

朝9時、西広島からはるばる車でやってきた叔母に肩を揺すられて起床。終戦記念日だ。半分寝たまま、言われるとおりにマッチと線香とバケツとを準備して、お墓参りに行く。
朝、まだ陽が入らないうちの墓所はいい。ひやりとしていて、蝉が元気だ。供えられた花はまだ少なくて、線香の香が湿度を含んだ空気に満ちていく。

叔母と一参り終えてから、朝のコーヒーを挽いていたら、父母が起きてきた。

12代目当主5

今日は4人墓参りに来ることになっているので、お茶と果物を準備。例年通りに1時間強の墓参りと懐かしい話が終わり、無事にお盆が終わっていく。
盆に墓参りをするとかそれを迎えるとかいうことについての意識が、私のなかで少しずつ変わってきた。広島を出て10年、いろんな土地に根を張ることに切実に憧れながらも、ゆらゆら生きてきた結果かもしれない。

12代目当主6

叔母が今年は早く帰ったので、父母と私と3人分の夕飯を準備して、それを食べてから高松に帰った。素麺と天ぷらと焼き茄子サラダだけだったけど、なんだか食欲が出てきました。


夏が終わる。
そして今日もまた、たくさんの人に手を振る。